高校生のバイトは何歳から?22時の壁と扶養123万円を法律で解説

高校生バイトの基本ルール — 中学卒業後の4月から・22時まで・1日8時間週40時間 働く・お金
  1. 高校生のバイト — 「いつから」「何時まで」「いくらまで」を法律の条文で確かめる
  2. 高校生は何歳からバイトできる?
    1. 答えは「15歳の誕生日」ではなく「中学卒業後の4月1日」
    2. まず覚えたい3つの言葉
  3. 高校生のバイトは何時まで?時間の3大ルール
    1. ルール1:22時から翌朝5時までは働けない
    2. ルール2:1日8時間・週40時間が上限で、残業はできない
    3. ルール3:学校の授業時間は通算されない(よくある誤解)
  4. 高校生ができない仕事・注意が必要な仕事
    1. 法律ではっきり禁止されている仕事
    2. 重い物を扱う仕事には重量の上限がある
    3. ぱちんこ店・ゲームセンターはどうなる?
    4. コンビニで酒・たばこのレジを打てる?
  5. 高校生OKの職種と、時給の考え方
    1. 「高校生歓迎」で多い職種
    2. 「平均時給1,297円」は高校生の時給ではありません
    3. 最低賃金は2026年10月から順次上がります
  6. いくらまで稼いでいい?税金と扶養の壁
    1. 本人の所得税は給与160万円まで0円
    2. 親の扶養控除が外れるのは給与123万円超
    3. 住民税は給与204万4千円未満まで非課税(18歳未満)
    4. 毎月の給料から税金が引かれていたら
  7. 学校の許可と、初バイトで必要な書類
    1. 学校の規定は学校ごとにまったく違います
    2. 親の同意書は、法律上の必須書類ではありません
    3. 初出勤までにそろえる書類
  8. 働き始めてから知っておきたいルール
  9. Q&A — 高校生バイトのよくある質問
    1. 高校生は何歳からバイトできますか?
    2. 中学3年の春休みにバイトはできますか?
    3. 高校生は何時までバイトできますか?
    4. 高校生は1日何時間まで働けますか?
    5. 高校生のバイトに親の同意書は必要ですか?
    6. 高校生はいくらまで稼いでいいですか?
    7. バイト先から住民票の書類を出すよう言われました。なぜですか?
  10. 出典・参考
  11. まとめ — ルールを先に知っておけば、バイト選びで迷わなくなります

高校生のバイト — 「いつから」「何時まで」「いくらまで」を法律の条文で確かめる

高校生がアルバイトを始められるのは、中学校を卒業した年の4月1日からです。労働基準法56条1項が「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで」使用してはならないと定めているためで、誕生日が何月かは関係ありません。そして働ける時間帯は朝5時から夜22時まで、労働時間は1日8時間・週40時間が上限。残業はさせられません。

この記事は、高校生本人と保護者の方に向けて、労働基準法・年少者労働基準規則・風営法の条文と、厚生労働省・国税庁が公表している資料だけを根拠に、高校生バイトのルールをまとめたものです。求人サイトの「なんとなくの説明」ではなく、根拠がどこにあるのかまで確認できる形にしました。

高校生バイトの基本ルール — 中学卒業後の4月から・22時まで・1日8時間週40時間


高校生は何歳からバイトできる?

答えは「15歳の誕生日」ではなく「中学卒業後の4月1日」

労働基準法56条1項は、次のように定めています。

使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。

読み方のポイントは「15歳になった後の最初の3月31日が終わってから」という部分です。義務教育を終える時期に合わせた線引きなので、結果として高校1年生の4月以降であれば、誕生日が4月生まれでも3月生まれでも、全員が働けます。

逆にいうと、中学3年生の3月、高校の合格発表が終わった後の春休みはまだ働けません。「4月から高校生だから」と3月中に働き始めるのは、この条文に反します。ここは毎年多くの人が誤解する部分です。

なお56条2項には、行政官庁(労働基準監督署長)の許可を受けて満13歳以上の児童を働かせられる例外がありますが、これは新聞配達や子役のような非工業的業種の軽易な労働に限られたもので、高校生には基本的に関係しません。

中3の3月は働けず高1の4月1日から働ける — 労働基準法56条1項のタイムライン

まず覚えたい3つの言葉

労働基準法は年齢によって呼び名を変えていて、これを知らないと条文がまるで読めません。

用語 だれのこと 根拠
児童 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの人 労基法56条1項
年少者 満18歳未満の人 労基法57〜63条
未成年者 満18歳未満の人(2022年4月の民法改正で成年年齢は18歳) 労基法58・59条

つまり高校生のほとんどは「年少者」に当たります。3年生の途中で18歳の誕生日を迎えると年少者向けの規制は外れるので、同じ高校3年生でもクラスの中でルールが違う、ということが起こります。


高校生のバイトは何時まで?時間の3大ルール

ルール1:22時から翌朝5時までは働けない

労働基準法61条1項は「使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない」と定めています。18歳未満のうちは、どんな職種であっても22時から翌朝5時までは働けません。「遅くとも22時までに退勤」が絶対の線になります。

例外はごく限られています。満16歳以上の男性が、複数の班で時間帯を交替する「交替制」で働く場合は22時以降も可能です。また交替制の事業では、労働基準監督署長の許可があれば22時30分まで、あるいは5時30分からの勤務ができます。

さらに61条4項は、農林の事業(別表第一第6号)、畜産・養蚕・水産の事業(第7号)、保健衛生の事業(第13号)、電話交換の業務については深夜業の規定を適用しないとしています。ここで大事なのは、この適用除外リストにコンビニやスーパー(第8号 物品の販売)、飲食店(第14号)は入っていないことです。つまりコンビニ・ファストフード・ファミレスで働く高校生は、22時以降のシフトに入ることが法律上できません。

ついでに触れておくと、労基法37条4項は22時〜5時の労働に25%以上の割増賃金(深夜手当)を定めていますが、18歳未満はそもそもその時間帯に働けないので、「深夜手当で稼ぐ」という選択肢は高校生にはありません。18歳の誕生日を迎えた後なら可能になります。

ルール2:1日8時間・週40時間が上限で、残業はできない

ここが、大人のアルバイトとの最大の違いです。労働基準法60条1項は、32条の2から32条の5(変形労働時間制・フレックスタイム制)、36条(いわゆる36協定)、40条(労働時間の特例)、41条の2を、満18歳未満には適用しないと定めています。

条文からそのまま導かれる結論は次のとおりです。

項目 18歳未満(高校生) 18歳以上
1日の上限 8時間 8時間(36協定で延長可)
1週の上限 40時間 40時間(36協定で延長可)
残業(時間外労働) できない 36協定があれば可
週44時間の特例(小規模の商業・サービス業) 使えない 使える場合あり
変形労働時間制・フレックス 使えない 使える場合あり
22時〜5時の勤務 禁止 可(25%以上の割増賃金)

厚生労働省の「確かめよう労働条件」には、労働者数10人未満の商業・サービス業は週44時間まで、という一般則の説明があります。ただしこの特例は40条にもとづくもので、60条1項によって18歳未満には適用されません。小さな個人商店や個人経営の飲食店でも、高校生は週40時間が上限です。

なお60条3項には年少者向けの柔軟な例外があり、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で、1週のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合に限り他の日を10時間まで延長できる、という仕組みがあります。長期休暇中に1日だけ長めに入る、といったシフトはこの範囲で組まれることがあります。

ルール3:学校の授業時間は通算されない(よくある誤解)

「学校の授業時間とバイトの時間を足して1日8時間まで」という説明を見かけることがありますが、これは高校生には当てはまりません。修学時間を通算して1週40時間・1日7時間とする労基法60条2項のルールは、56条2項の許可を受けて使用する「児童」だけを対象にした規定だからです。

ただし、法律上通算されないことと、通算しなくていいことは別の話です。学業優先の観点から、学校や勤務先が独自に「平日は3時間まで」「テスト前2週間はシフトに入れない」といった上限を設けている場合は珍しくありません。

18歳未満と18歳以上の労働時間ルール比較表


高校生ができない仕事・注意が必要な仕事

法律ではっきり禁止されている仕事

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)と年少者労働基準規則が、18歳未満の就労をはっきり禁じているものがあります。

内容 根拠
キャバクラなど風俗営業の営業所での「接待」(全時間帯) 風営法22条1項3号
風俗営業の営業所で22時〜翌6時に客に接する業務(深夜営業の飲食店にも32条3項で準用) 風営法22条1項4号
店舗型性風俗特殊営業の営業所で客に接する業務 風営法28条12項3号ほか
「酒席に侍する業務」「特殊の遊興的接客業における業務」 年少者労働基準規則8条44号・45号
坑内労働 労基法63条

重い物を扱う仕事には重量の上限がある

労基法62条は18歳未満に危険有害業務をさせることを禁じ、その具体的な中身を年少者労働基準規則が定めています。7条の重量物の上限は、倉庫や引っ越しのバイトを考えるときに実際に関わってきます。

年齢・性別 断続作業 継続作業
満16歳未満・女性 12kg以上は不可 8kg以上は不可
満16歳未満・男性 15kg以上は不可 10kg以上は不可
満16歳以上18歳未満・女性 25kg以上は不可 15kg以上は不可
満16歳以上18歳未満・男性 30kg以上は不可 20kg以上は不可

年少者労働基準規則8条は、このほかにも46種類の就業制限業務を列挙しています。高校生のバイト選びに関係しやすいものを挙げると、クレーンやデリックの運転(3号)、最大積載量2トン以上の貨物自動車の運転(6号)、玉掛けの業務(10号)、深さ5m以上の地穴での業務(23号)、高さ5m以上で墜落のおそれのある場所での業務(24号)、足場の組立・解体・変更(25号)、有害物を扱う業務(32号・33号)、多量の高熱物体や著しく暑熱な場所での業務(36号)、焼却・清掃・と殺の業務(42号)などがあります。

高所の窓拭き、工事現場、危険物を扱うガソリンスタンドの一部作業などは、この制限に触れる可能性があります。募集要項で「18歳以上」と書かれている仕事の多くは、この年少者労働基準規則が理由です。

高校生が就けない仕事・注意が必要な仕事の一覧

ぱちんこ店・ゲームセンターはどうなる?

ここは、法律の条文と業界の実務にずれがある論点なので、慎重に見ていきます。

ぱちんこ店は風営法2条1項4号営業に当たるため、18歳未満は「客として」の立ち入りが禁止されています。一方で、従業員としての就労を全時間帯にわたって一律に禁じる明文は、風営法には置かれていません。関係してくるのは22条1項4号の「22時〜翌6時に客に接する業務」の規制と、年少者労働基準規則8条45号「特殊の遊興的接客業における業務」の解釈です。

ただし実際には、ぱちんこ業界の求人サイトが「18歳未満不可」「高校生不可」としている店舗が大半だと説明しています。法文の解釈と店舗の運用をあわせて考えると、高校生の応募先としては現実的ではないと考えておくのが安全です。

ゲームセンター(風営法2条1項5号営業)は扱いが異なり、18歳未満の客としての立ち入りが禁止されるのは22時〜翌6時の時間帯だけです。

コンビニで酒・たばこのレジを打てる?

これも誤解の多い論点です。二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律1条3項が規制しているのは「営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者」、喫煙禁止法5条が罰則を科すのは「販売シタル者」です。どちらの法律にも、レジを打つ従業員の年齢を制限する条文は置かれていません。

つまり「高校生が酒・たばこをレジで通すこと」自体を禁じる法律はありません。それでも高校生には酒類・たばこの販売対応をさせない運用をしている店舗やチェーンは珍しくないので、これは法律ではなくお店のルールの問題と理解しておくのが正確です。気になる場合は面接のときに確認しておくとよいでしょう。


高校生OKの職種と、時給の考え方

「高校生歓迎」で多い職種

求人サイトの「高校生歓迎」特集で繰り返し登場するのは、次のような職種です。

  • コンビニ(レジ・品出し・清掃)— 夕方から入りやすく、シフトの融通が利く
  • スーパー(レジ・品出し・惣菜・バックヤード)
  • ファストフード・ファミレス(ホール/キッチン)
  • カフェ・ベーカリー
  • ドラッグストア・書店・ホームセンター・アパレルなどの販売
  • イベントスタッフ(会場設営、チケットもぎり、案内、グッズ販売)— 単発・短期が多く、長期休暇や週末に働きやすい
  • 軽作業(仕分け・ピッキング・シール貼り)
  • フードデリバリー系の店舗内業務(配達員は18歳以上としている場合が多く、各社の規約によります)

この顔ぶれには理由があります。22時前にシフトを終えられること、1日8時間・週40時間の枠に収まる短時間シフトが組めること、年少者労働基準規則の就業制限に触れる作業が少ないこと——ここまで見てきた3つの条件をすべて満たす職種が、自然と「高校生歓迎」として残るわけです。

「平均時給1,297円」は高校生の時給ではありません

時給の話をするときに、いちばん誤解が生まれやすいところです。

マイナビの「アルバイト・パート平均時給レポート」によると、2026年7月の全国平均時給は1,297円(前年同月比+14円)、三大都市圏は1,333円でした。職種別では飲食・フードが全国1,211円、警備・清掃・ビル管理が1,256円などとなっています。

ただしこれはすべて全年齢を対象にした「募集時の」平均時給です。深夜帯を含む求人が混ざっている調査もあり、そのまま高校生の時給相場として読むことはできません。求人サイトでは「高校生時給」を別建てにしている求人があり、一般時給より低く設定されている場合があります。

実際には最低賃金+αになることが多いので、募集要項の「高校生時給」の欄を必ず確認してください。

参考までに、高校生900人を対象にしたアンケート調査(マイナビバイトTIMES)では、平均月収3.9万円、平均勤務日数は週2.7日、1日あたりの勤務時間は平均4時間という結果が出ています。年間に直すと約47万円で、後述する扶養の壁にはまず届かない水準です。

最低賃金は2026年10月から順次上がります

時給の下限を決めているのが地域別最低賃金です。ここは2026年秋がちょうど切り替わりの時期に当たるので、「今いくらか」と「これからいくらになるか」を分けて押さえてください。

2026年9月時点で実際に効力を持っているのは令和7年度額です。全国加重平均は1,121円(前年度1,055円から66円の引き上げ)、最高額は1,226円、最低額は1,023円で、令和7年10月1日から令和8年3月31日にかけて順次発効し、すでに全都道府県で発効済みです。

そして令和8年度の改定額が、2026年9月3日に答申として公表されました。全国加重平均は1,177円(+56円)、47都道府県で54円〜65円の引き上げ、最高額1,280円・最低額1,085円です。発効は令和8年10月1日から12月2日にかけて順次とされています。

都道府県 現在(令和7年度) 答申額(令和8年度)と発効予定日
東京 1,226円 1,280円/令和8年10月1日
神奈川 1,225円 1,279円/令和8年10月1日
大阪 1,177円 1,231円/令和8年10月1日
愛知 1,140円 1,195円/令和8年10月1日
北海道 1,075円 1,131円/令和8年10月1日
福岡 1,057円 1,114円/令和8年10月4日
沖縄 1,023円 1,086円/令和8年12月2日
全国加重平均 1,121円 1,177円

注意点が2つあります。1つは発効日が都道府県ごとに違うこと。同じ10月でも1日からの県と下旬からの県があり、沖縄のように12月2日の県もあります。もう1つは、厚生労働省自身が「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」と注記していることです。応募前には、必ずお住まいの都道府県の最新額を厚生労働省のサイトで確認してください。

最低賃金 全国加重平均の推移(令和6年度・令和7年度・令和8年度答申)


いくらまで稼いでいい?税金と扶養の壁

「103万円の壁」という言葉を聞いたことがあると思いますが、令和7年度税制改正でこの数字は過去のものになりました。いまは本人と親で見るべき金額が分かれています。

本人の所得税は給与160万円まで0円

令和7年度税制改正で、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に、基礎控除が合計所得132万円以下の人について48万円から95万円に引き上げられました。この2つを足すと160万円になるので、給与収入160万円までは所得税がかかりません。財務省もこれを「課税最低限を160万円に引き上げました」「恒久的措置」と説明しています。

なお、この改正は令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されます。

親の扶養控除が外れるのは給与123万円超

高校生が実際に意識すべき「壁」は160万円ではなく、123万円です。

親が扶養控除を受けられる「控除対象扶養親族」の要件のひとつが、年間の合計所得金額58万円以下、給与だけなら給与収入123万円以下であることだからです(国税庁 No.1180、令和7年分以降)。控除額は一般の控除対象扶養親族で38万円。高校生(16〜18歳)はこの「一般」に当たります。

子の給与収入が123万円を超えると、親はこの38万円の控除が使えなくなり、その分だけ親の所得税・住民税が増えます。本人の税金はゼロのままなのに世帯全体の手取りは減る、という形になるので、家計としては123万円の方が重要な数字です。

ここで大学生年代との違いも押さえておくと理解が深まります。令和7年分に創設された特定親族特別控除は19歳以上23歳未満が対象で、通常の高校生は対象外です。19歳以上23歳未満の特定扶養親族の控除額63万円も、高校生には適用されません。

住民税は給与204万4千円未満まで非課税(18歳未満)

住民税には未成年者向けの特例があります。賦課期日(1月1日)時点で18歳未満の未成年者は、前年の合計所得金額135万円以下(給与収入204万4千円未満)であれば個人住民税が非課税です。ほとんどの高校生は住民税もかかりません。

ただし高校3年で18歳の誕生日を迎えると、その翌年以降は一般の基準になります。一般の非課税限度額は自治体の級地区分によって少しずつ違い、名古屋市や福岡市では前年の合計所得金額45万円以下(給与収入なら110万円以下)で非課税とされています。おおむね給与収入110万円前後が目安ですが、お住まいの市区町村で異なります。

もうひとつ、住民税は前年の所得に対して課税される点も覚えておいてください。2025年(令和7年)中の収入が、2026年度(令和8年度)の住民税に反映されるという時差があります。

高校生の年収の壁 — 123万円・160万円・204.4万円の数直線

毎月の給料から税金が引かれていたら

「収入は少ないのに給料明細に所得税が載っている」というのはよくある話です。これは毎月の源泉徴収の仕組みによるもので、初出勤のときに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しているかどうかで税額表の適用欄が変わります。提出していれば税率の低い甲欄、未提出なら乙欄が適用されます。

令和8年分の月額表では、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が105,000円未満なら源泉徴収税額は0円になるとされています(令和7年分までは88,000円未満でした)。

引かれすぎた所得税は、12月まで在籍していれば勤務先の年末調整で、掛け持ちや年の途中で辞めた場合は確定申告で戻ってきます。「引かれっぱなし」にはならないので、明細は捨てずに取っておいてください。

ちなみに勤労学生控除(控除額27万円、合計所得85万円以下ほかの要件)という制度もありますが、課税最低限が160万円になったいま、高校生のアルバイトで出番があるケースはかなり限られます。


学校の許可と、初バイトで必要な書類

学校の規定は学校ごとにまったく違います

まず前提として、高校生のアルバイトを禁止する法律はありません。労基法56条の要件を満たしていれば、法律上は働けます。

禁止にするか、許可制にするか、届出だけでよいか、完全に自由か——これはすべて各学校の判断で、校則や生徒指導規程に定められています。アルバイト許可願の様式を公開している学校や、保護者向けの説明文書を出している学校もあります。まずは生徒手帳を読み、担任の先生に確認してから応募してください。

順番を間違えると厄介です。応募して採用が決まってから学校がNGだったと分かると、勤務先にも迷惑がかかります。学校の確認 → 応募の順が鉄則です。

許可制の学校では、担任に相談して許可願の用紙を受け取り、勤務先・仕事内容・勤務時間・時給・期間・理由などを記入し、保護者が署名したうえで、担任から学年主任・生徒指導部長・教頭・校長へと決裁が回る、という流れが一般的な場合が多いようです。有効期間を区切って許可証を交付する学校もあります。ただし細かい運用は学校ごとに異なるので、必ず自分の学校の規定を確認してください。

親の同意書は、法律上の必須書類ではありません

ここは保護者の方にこそ知っておいていただきたい部分です。

労働基準法58条1項は「親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない」と定めています。労働契約を結ぶのは高校生本人であり、親が代わりに契約することはできません。59条は「未成年者は、独立して賃金を請求することができる」とし、親が代わりにバイト代を受け取ることも禁じています。

そして労基法が保護者の同意書の備え付けを義務づけているのは、56条2項によって使用する「児童」の場合だけです(57条2項)。年少者である高校生については、同意書は労基法上の必須書類ではありません。

とはいえ実務上は、トラブル防止や学校対応のために保護者の同意書を求める勤務先が多いのが実際のところです。「法律上は必須ではないが、求められることが多い」と理解しておけば十分です。

初出勤までにそろえる書類

書類 何のために必要か
年齢を証明する書類(住民票記載事項の証明書など) 労基法57条1項で、会社に事業場への備え付けが義務づけられているため
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 源泉徴収の甲欄適用・年末調整のため
マイナンバー(通知カード・マイナンバーカードなど) 源泉徴収票などの法定調書を作成するため
振込先口座(本人名義) 賃金は直接本人に支払う必要があるため(労基法24条・59条)
保護者の同意書 会社の運用上(法律上の必須書類ではない)
学校のアルバイト許可証 学校の校則による

年齢証明書について補足しておきます。バイト先から住民票記載事項の証明書を求められるのは、会社に法律上の義務があるからです。茨城労働局は57条の解説で、認められる書類として住民票や住民票記載事項の証明書等(本籍地の記載は不要)を挙げています。市区町村の窓口で発行してもらえます。

初バイトまでにそろえる書類のチェックリスト


働き始めてから知っておきたいルール

厚生労働省の「確かめよう労働条件」が示している、アルバイトにも当然に適用されるルールです。困ったときの判断材料になります。

  • 労働条件の明示 — 会社は契約期間、更新のきまり、仕事をする場所と内容、勤務時間や休み、バイト代の支払い方法・支払日、退職・解雇に関することを書面で示す義務があります(労基法15条)。2024年4月からは、就業場所・業務内容の「変更の範囲」の明示も必要になりました。
  • 賃金支払の5原則 — バイト代は①通貨で ②全額を ③労働者に直接 ④毎月1回以上 ⑤一定の期日に支払われます(労基法24条)。
  • 休憩 — 労働時間が6時間を超えるときは45分以上、8時間を超えるときは1時間以上の休憩を、労働時間の途中に取れます(労基法34条)。
  • 休日 — 毎週少なくとも1回、または4週を通じて4日以上(労基法35条)。
  • 年次有給休暇 — 6か月以上の継続勤務と所定労働日の8割以上の出勤で発生し、アルバイトにも日数に応じて比例付与されます(労基法39条3項)。
  • 減給の制裁には上限 — 1回の減給額は平均賃金1日分の半額を超えてはならず、総額も一賃金支払期の10分の1以下です。
  • 労災保険 — 労働者を1人でも雇う会社に適用され、保険料は全額会社負担。業務中のけがや通勤中の事故が対象で、アルバイトも当然に対象です。
  • 解雇予告 — 原則30日前の予告、または30日分以上の平均賃金の支払いが必要です。

厚生労働省は毎年「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施しており、令和8年度は4月1日から7月31日に行われました。重点周知事項には「学業との両立に配慮したシフト設定」「休憩時間と年次有給休暇の適切な取扱い」に加えて、「商品買取り強要の抑止と賃金からの控除禁止」「損害賠償額の事前設定禁止と違法な減給制裁の禁止」が挙げられています。「シフトに入れないと罰金」「売れ残りは買い取り」といった扱いは違法だと、はっきり言える根拠です。

なお雇用保険については、雇用保険法6条4号が学校教育法1条の学校の学生・生徒を適用除外としており、昼間の高校に通う高校生は原則として雇用保険の被保険者にならない取扱いが一般的です。健康保険・厚生年金も、高校生のアルバイトで加入するケースは限定的です。


Q&A — 高校生バイトのよくある質問

高校生は何歳からバイトできますか?

中学校を卒業した年の4月1日からです。労働基準法56条1項が「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで」使用を禁じているためで、15歳の誕生日を迎えたかどうかは関係ありません。高校1年生の4月以降なら、生まれ月にかかわらず全員が働けます。

中学3年の春休みにバイトはできますか?

できません。高校の合格が決まっていても、3月31日が終わるまでは労働基準法56条1項により働くことができません。働き始められるのは4月1日からです。

高校生は何時までバイトできますか?

22時までです。労働基準法61条1項が満18歳未満の22時〜翌朝5時の勤務を禁じています。コンビニやスーパー、飲食店はこの禁止の適用除外に入っていないため、22時までに退勤する必要があります。18歳の誕生日を迎えると、この制限はなくなります。

高校生は1日何時間まで働けますか?

1日8時間・週40時間が上限で、残業はできません。労働基準法60条1項により、36協定による時間外労働も、週44時間の特例も、変形労働時間制も18歳未満には適用されないためです。なお、学校の授業時間をバイト時間に足して計算するルールは高校生には適用されません。

高校生のバイトに親の同意書は必要ですか?

労働基準法上の必須書類ではありません。同意書の備え付けが義務づけられているのは「児童」を使用する場合だけです(労基法57条2項)。ただし実務上は、多くの勤務先が保護者の同意書を求めます。なお、労働契約を結ぶのは本人で、親が代わりに契約したりバイト代を受け取ったりすることは禁止されています(労基法58・59条)。

高校生はいくらまで稼いでいいですか?

本人の所得税は給与収入160万円まで0円ですが、給与収入123万円を超えると親の扶養控除(38万円)が外れて親の税負担が増えます。家計として意識すべき線は123万円です。住民税は、1月1日時点で18歳未満なら給与収入204万4千円未満まで非課税です。

バイト先から住民票の書類を出すよう言われました。なぜですか?

会社に法律上の義務があるからです。労働基準法57条1項は、18歳未満の労働者について年齢を証明する書類を事業場に備え付けるよう会社に義務づけています。茨城労働局は、認められる書類として住民票や住民票記載事項の証明書等(本籍地の記載は不要)を挙げています。市区町村の窓口で発行してもらえます。


出典・参考

※ 本記事の内容は2026年9月5日時点の法令・公表資料にもとづいています。最低賃金や税制は改定されることがあるため、実際の判断の際は各公式サイトで最新の情報をご確認ください。


まとめ — ルールを先に知っておけば、バイト選びで迷わなくなります

長くなったので、最後に要点を並べておきます。

  • 働けるのは中学卒業後の4月1日から(労基法56条1項)。中3の春休みはまだ働けません
  • 22時〜翌朝5時は勤務禁止(61条1項)。コンビニ・飲食店は適用除外ではないので22時退勤です
  • 1日8時間・週40時間が上限、残業なし(60条1項)。週44時間の特例も変形労働時間制も使えません
  • 接待業務・坑内労働・一定の重量物や高所作業は法律で禁止。酒やたばこのレジ対応は法律ではなくお店のルールの問題です
  • 時給の下限は最低賃金。2026年9月時点は令和7年度額(全国加重平均1,121円)で、10月1日から12月2日にかけて令和8年度額(同1,177円)へ順次切り替わります
  • 本人の所得税は給与160万円まで0円。ただし親の扶養控除が外れるのは給与123万円超
  • 学校の規定は学校ごとに違います。応募より先に生徒手帳と担任の先生で確認を

高校生バイトのルールは、覚えることが多いようでいて、実は「いつから」「何時まで」「いくらまで」の3つに集約されます。

この3つさえ頭に入っていれば、募集要項を見た瞬間に「これは自分が応募できる仕事かどうか」が判断できます。逆に言えば、22時以降のシフトを前提にした求人や、明らかに重い物を扱う仕事を勧めてくる勤務先は、その時点で慎重に見た方がよいということでもあります。

初めてのアルバイトが、無理のない良い経験になりますように。


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